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1965年、東京生まれ。某大学付属の幼稚園に入園。その後、小学校6年生までパリとロンドンで暮らす。大学卒業後は大手広告代理店に就職し、メディア・プランナーとして7年半勤務。広告の仕事にやりがいを感じていたが、一生続けられる仕事として料理研究家の道へ進む。パリの有名スクールで学び、パティシエの資格も取得。結婚・出産を経て、知人の勧めで朝日新聞の夕刊で連載をスタート。'98年から料理・お菓子教室を主宰。現在は、カルチャーサロンF TERRACEの代表として、料理研究家として、小学2年生の男の子のママとして充実した日々を過ごす。著書に『小さなフミのパリ奮闘記』がある。

 

「きっかけは、『孫の顔が見たい』という母の言葉でした」。それは、大手広告代理店に女性の総合職第一期入社として就職し、メディア・プランナーとしてキャリアの道を歩んでいた岩佐文恵さんが、料理研究家になろうと決めた人生のターニングポイントだった。
「母は自分の人生を私と弟を育てるために捧げてくれました。その母に恩返しをしたいという思いもあり、自分の将来を見直したんです。広告の仕事は確かにやりがいのある楽しいものでした。当時はまだ結婚をしていませんでしたが、子どもを産んでからも今と同じようには働けないことは分かっていました。そこで、一生続けられる仕事は何かと考え、小さいころから大好きだった料理の道を究めようと思ったのです」

岩佐さんは美食家揃いの家庭に育った。小さいころから、家でも外でもおいしい料理を食べ歩いてきた。幼稚園から小学校6年生まで父親の転勤についていったパリとロンドンでも、その土地でしか食べられない料理の味に幼くして出会ったという経験を持つ。徹夜や休日出勤も常識だった代理店時代にも、お休みの日に学校へ通 うほど料理への興味は深かった。
「家では朝から夜まで食の話でもちきりでしたね(笑)。祖母は懐石もつくれるほどの腕前。母は雑だけれどもクリエイティブなタイプ。外で食べたおいしい料理を見よう見まねでつくってくれました。その影響はかなり大きかったと思います」 外食でも家庭の料理でも決して味の妥協はしない。おいしさだけでなく食べる楽しさも、とことん追求する祖母と母の精神は、自ずと岩佐さんにも受け継がれていった。

仕事を辞めて「ル・コルドン・ブルー」に通い、その後単身パリへ。「ラ・ヴァレンヌ」で料理やお菓子の腕を磨き、ディプロムを取得。帰国後は、大里成子中華料理教室、草月流いけばな、ワイン・セミナーなど、料理の幅を広げるとともに、食にまつわることへと勉強の対象を広げていった。そんななか、仲間のひとりが岩佐さんに新聞の連載コーナーの話を持ちかけた。連載終了後、読者の方からの問い合わせや依頼が多く寄せられ、『もっと料理を教えてほしい』という声に応えるかたちで1998年から料理教室をスタート。
「教室をはじめたとき、息子はまだ2歳でした。母には孫の顔を見せるとこができてうれしかったですね。ただ仕事をするにあたっては、月3クラス、だいたい週に1回ほど午前中に押していましたが、一時預かりをしている保育施設を探して預けたり、ベビーシッターさんにお願いしたりしていました」

その息子さんは今、小学2年生。春からは3年生になる。彼は料理もつくれるし、テーブルセッティングもできるという。
「これまで、手伝えるときは、たとえ足手まといになってもあえて手伝わせてきました。インフルエンザが流行して学校閉鎖になったときは、皿洗いの手伝いをさせたこともあります。息子はちょっと不機嫌そうでしたけどね(笑)」
それも、ご主人と別れた後、岩佐さんはひとりで父親・母親の二役をこなしていることもあり、「オヤジではなく、母親の背中を見て育って!」という強くあたたかい思いがあるから。
「息子には、自分の責任で自分の生き方を見つけてほしいと思ってるんです。だから、ある程度成長したら背中をポンと押して、世の中で出しちゃおうって(笑)。そして、息子には私の姿をきちんと見ていてほしい、息子が“よし”と認めてくれる生き方をしていきたいと思っています」

 


料理研究家として、料理教室で教える人として、今年8年目を迎える岩佐さんには核となるこだわりがある。ひとつは、おいしい料理だけでなく、つくる人も食べる人も気持ちいい時間を過ごせること。
「みなさんがお客様をもてなしたときに、恥ずかしくないことはもちろん、しかも手抜きができることも大切です。ホームパーティでは、料理を買ってくるよりつくったほうが早くておいしい、そんなオリジナルレシピとテーブルコーディネイトを提案するようにしています。しかも、はじめてつくる料理に失敗はつきもの。みなさんが失敗しないように、失敗は私が代表してやっています(笑)。その失敗談はすべて包み隠さず、みなさんにお話するようにしていますよ(笑)」
教室に通う方たちは、情報通で求めるレベルは高い人ばかり。そのため、情報収集は欠かせない。岩佐さんは「おいしい」と聞けばどこへでも飛んで行くという。

もうひとつのこだわりは、食材。ひとつの食材でもいろんな店をまわりできるだけナチュラルなものを厳選している。
「料理、つまり食べることは、生きるためのベースです。食生活が体に、その後の人生に与える影響って大きいですよね。 食材の掛け合わせで毒になることがあるかもしれない。だからこそ、その時期その時期にいちばんおいしい旬の食材を、そしてどの食材でもナチュラルなものを選んでいます」 ナチュラルなものを選ぶ、大切にする。それは料理だけでなく、岩佐さんの普段の生活、息子さんの育て方、そして彼女自身のライフワークにも、まっすぐ一本の太い筋となって通 じているようだ。
「2003年にはじめたF TERRACEは、料理教室やカルチャースクールとしてだけでなく、みなさんが日々かかえている思いや悩みから、ちょっとした出来事まで、どんなことでも自然体で気軽に話せる場所にしたいという気持ちがあって“カルチャーサロン”という位 置づけにしました。来ていただいているみなさんに、『ここに来たら、いいことがあった』と毎回思っていただけると本当にうれしいですね」

2005.3.29
 
 
Q1. いま一番やってみたいことは?
もう一度海外で生活したいです。
ヨーロッパかニューヨークがいいですね。
人や情報など、いろんな刺激がある街で。

Q2. 自分のどこをほめられるとうれしい?
ほめてもらえるなら、どんなことでもうれしいですね。
家が厳しかったせいかもしれません(笑)。

Q3. 今までで一番はずかしかったことは?
小学校時代を海外で過ごしたこともあって、
熟語などの知識がたまに抜けているんです。
代理店時代にパーティーで
「三々五々、集ってください」と言われて
「三々五々って、どこのお店ですか?」って
聞いてしまい、大爆笑なんてこともありました(笑) 。

Q4. 最近いつ泣いた?その理由は?
理由もなく泣きました。
がまんしている人がいっぱいいるけれど、
泣きたいときは泣いていいんですよね。

Q5. あなたがすごく感動した映画は?
『風と共に去りぬ』の強い生き方に憧れます。
最近では『いま、会いにゆきます』かしら。
息子に「ママってお父さんみたいだね」と言われ、
自分の姿と重ね合わせて観ました 。

◇カルチャーサロン F TERRACEのホームページはこちら >>
◆4月からママリブの新コーナーで岩佐さんのレシピを紹介します。お楽しみに!

 
 
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