楽しく生きる、カッコよく生きる 
mamalive Interview
スタイリスト 阿部由美子さん
阿部由美子さん
阿部由美子さん


東京都在住。1978年に文化服装学院を卒業後、スタイリストのアシスタントに。翌'79年に独立。代官山に自宅オフィスを構える。以後、資生堂、サントリー、ソニーをはじめとする大手メーカーのコマーシャルのスタイリングを手掛ける。25歳で女の子を出産、以後子育てをしながら仕事を続け、'00年には自身のブランド「e(ウー)」を立ち上げる。現在はCMの仕事を続けながら、陶芸を習ったりガーデンデザインをはじめるなど独自のセンスを生かした創作活動に励んでいる

スタイリスト 阿部由美子さん  

世田谷にある自宅兼アトリエで愛犬のクンクン(シュナウザー・9歳の女の子)と一緒に私たちを出迎えてくれた阿部さん。彼女はソニーのサイバーショットやCCJCの爽健美茶など、大手メーカーのCMで活躍しているスタイリストだ。

スタイリストの道を歩きはじめたのは、文化服装学院を卒業してすぐのこと。とにかく洋服が好きだったが、具体的に何をしたいか見つけられなかった阿部さんに、当時はまだ一般 的に知られていなかったスタイリストの仕事を勧めたのは学校の先生だった。学校の卒業生で、スタイリストをしていた馬淵正子さんのアシスタントについて1年が経とうとした頃、人の言うことに従うより、自分でやってみたいという思いが強くなった。そして20歳のうちに独立を決意した。
「仕事のことは、今から思うとゾッとするくらいに何も知りませんでした。なのにずうずうしくフリーになって…。アシスタントを一人かかえていましたが、彼女が20歳。私が21歳。仕事の現場では、アシスタントと間違えられることも…(笑)。当時はいつも背伸びをしていた気がします」

自分で仕事をとり、人を使うことを覚えはじめた阿部さんに大きなチャンスが訪れた。知人の紹介で資生堂の「花椿」の編集長・平山景子さんと出会い、ずっとやりたかった「花椿」の仕事をすることになったのだ。
「まず担当させてもらったのは情報ページでした。海外から編集長に直接届く情報をもとに商品を集めるのですが、その情報にフィットするモノが日本にはまだない。トラック1台分の中で使えるものは10分の1ほどでしたね(笑)」
厳しい目を持つ編集長に認められ、鍛えられ、後にメインページのスタイリングも担当することに。と同時に、一緒に仕事をしていたカメラマンを通 じてCMのスタイリングを任されるようになる。仕事が軌道にのり、スタイリストとしても売れ始めたこの時期はまさに、子どもを出産し、育児をスタートした時期でもあった。

阿部由美子さん
 
デザイン画


CMの仕事は、撮影当日は何時に終わるかわからない。打ち合わせやタレントさんのフィッティングも、終了時間がよめないことが多い。阿部さんは、自分のために、そして娘のために保育園とベビーシッターをフルに活用した。実家の母親に来てもらうこともあったという。
「子どもが急に熱を出したときも、私は休めない。泣いている子どもをはじめてのベビーシッターさんにお願いして外出したときは、歩きながら涙がこぼれました」
できる限り子どもとも一緒にいたい。そんな気持ちから自宅を拠点に仕事を続けた。外出が多く、仕事が深夜に及ぶこともあったが、毎朝子どものお弁当づくりは欠かさなかったという。阿部さんの姿を見てきた娘さんは「さみしかった」「おばあちゃんに育てられた」と言うこともあっても、「仕事を辞めてほしい」と言うことはなかった。そして今、娘さんは都内の美大でデザインを学んでいる。

スタイリストという仕事は、ある程度なら自分で時間をコントロールできる。そのときそのとき、いちばん大事なことを優先させながらも、仕事の手は抜かなかった。
「好きなことにしか器用になれない性格なんです(笑)。好きなことには一途ですね。できるかぎり人任せにせず自分でやってきました。そうするとたくさんの仕事はこなせません。だから自然に好きなスタッフとだけ仕事をするようになっていきました。それが良かったのかもしれません」
スタイリストになって25年、一度もやめたいと思ったことがないという。この仕事をしていたから、「ふつうでは出会えなかった人たちと知り合えて、刺激をうけて、今の自分がいる。ふつうでは行かないところに行けて、いろんなものを見せてもらいました。仕事での体験が、今の自分の80%をつくっている」のだと阿部さんは語る 。

かけがえのない出会いのひとつに、ご主人の存在がある。結婚当初は同じCM制作に携わるご主人と一緒に仕事をするのは気恥ずかしく避けていたところがあるが、最近ではカゴメのリゾットペンネや東レのトレビーノなど、いくつかのCMを一緒につくった。
「好きな仕事を好きなようにしていられるのは、主人のおかげです。結婚前は仕事をしている私のことを好きだと言ってくれた。結婚後、母親であることを優先させるように強要することもなかった。仕事のことをいちばんに相談できるのも一番いいアドバイスをしてくれるのも主人です。だから一緒に生活できるんだと思います」

今はCMの仕事を少し減らして、陶芸、花など、基本を先生に習い、それから先は好きなようにアレンジして生活空間に取り入れている。阿部さんは今年の3月まで「大切に着たいと思ってもらえる服を大切につくりたい」という思いで「e(ウー)」というブランドを展開していた。陶芸作品にもe(ウー)のロゴマークを必ず入れている。モノづくりに対する思いは、たとえカタチが変わっても変わらない。
「広告の仕事は時代とともに流れていくものです。クリエイターであってもアーティストじゃないというさみしさを感じることもありました。e(ウー)で服をつくったこともそうですが、陶器をつくったり、花のアレンジをしたりして、自分探しをしながらカタチになっていくものすべてが、いつかe(ウー)という名前でひとつにつながればいいですね」
今、阿部さんは広告のスタイリングとは違った視点で、日々の生活を楽しみながら次へとつながる活動をはじめている。

 
愛犬
 
Q1. いま一番やってみたいことは?
毎日の生活を楽しむこと。
Q2. 自分のどこをほめられるとうれしい?
「がんばっているね」「よくやっているね」
と ダンナに言われるとうれしいですね 。

Q3. 行ってみたいところは?
北欧かな。スエーデンの映画などを見ていても
家具やインテリア、ファッションに、
北欧の人の美意識が表れているようで、
実際に足を運んで見てきたいですね 。

Q4. 最近いつ泣いた?その理由は?
ごめんなさい。覚えていません。
涙もろくて、ちょっとしたことですぐに泣くんです。
くだらないドラマでも感激したりして 。

Q5. あなたがすごく感動した映画は?
「エイプリルの七面 鳥」です。
母親と娘の微妙な関係の描き方がよかったです。
母と娘って似ているほどケンカするんですよね、
今の自分と似ているかも…なんて思いながら見てました 。