「やっと、東京Ne+wSとして行きたいところが見えてきた気がしている」そう語るのは、10月に下北沢OFFOFFシアターでの公演を無事終えたところの奈々恵さんと+Nヲさん。二人は一見やわらかな雰囲気を漂わせるおだやかな女性だが、舞台のたびに役者やスタッフをプロデュースし、本人たちが演出・脚本・出演を手掛けるユニットとして活動を続けている。
前作『十月の髭/シンコペーテッド・クロック』では、 食品会社に勤める女、女の夫、夫の不倫相手が登場する。そんな状況の中で、大人特有の「隠す」という気持ち、本音と建て前の狭間にある微妙な気持ちの襞を、言葉ではなく、役者の心を通 して表現している。二人が創る芝居には、悪い人がほとんど出てこない。そこにリアリティではなくファンタージーを感じる観客もいるだろう。
「芝居ではありのままの生活を見せても仕方がない。現実の生活では人間関係に悩んだり、嫌なこともあります。せめて芝居だけは“あっ、これでいいんだ”とホッとしたり、“明日からがんばろう”という気持ちになる空間にしたい」と奈々恵さん。わざわざチケットを取って観に来てくれる人がいる。たまたま通 りがかって観てくれる人もいる。芝居を観る人の時間を拘束しているのだから、漠然とでもいいから何かをつかんで帰ってもらいたいという思いが二人にはある。
芝居への情熱が強いとはいえ、幼い子どもを持つ+Nヲさんが芝居の仕事を続けることは、それほど簡単ではないはず…。
「脚本を書くことは、生活サイクルに組み込まれている感じです。実際に書くのは舞台の1ヵ月前の1週間ほど。それが年に2回。それ以外は、娘を育てながら、週末には主人にお願いして、好きな芝居を一人で観に行く。普段の生活の中でいろんな刺激を受けることが大切なんです」 |