10年間働いていた市役所では、「いつも自分の居場所を探していた」と言う安原さん。「入所して担当した仕事は当時女性では初めて受け持つ業務で、とても責任感のある、やりがいのある仕事をしているという充実感はありました。でも公務員という仕事は『全体の奉仕者』でなければならない。市役所で働くということは市民のために仕事ができてなんぼの世界なわけですよね。本当にすばらしい仕事であると思う反面、さまざまな葛藤がありました。仕事のキャリアが増えていけばいくほど、だんだん、このままでいいのか、自分のやりたいことや目指しているものはもっと別のところにあるのではないか、と自分に問うことが多くなってきて。公務員という見た目の安定さとは裏腹にいつも満たされない閉塞感があったんです・・・。」 そんな中、転機が訪れる。きっかけは出産と、ご主人の転勤。このまま仕事を続けるか、どうするか。安原さんの自分探しはここから始まった。「タイミング良くすべてが重なったんです。育児休暇もいただけることになり、もう一度自分を見つめなおすチャンスだ、と思いました。このときから、自分の中で何かがはっきりと変わった。本当に転機だったと思います。」それからの安原さんの行動は早かった。
「やはり家族一緒にいるのがベストだと思い、退職することにしました。そして、とにかく今は自分の好きなことを学び、力をつけ、まずは何か形になる資格をとろう、と思ったんです。」そんな矢先、何気なくめくっていた雑誌で、あるタレントが野菜ソムリエという資格を持ち、活動しているのを知る。安原さんは、野菜ソムリエっておもしろそうだな、と興味を持った。それからしばらくしてたまたま見ていたテレビで、その勉強をしたいという思いは確実なものになる。テレビに映っていたのは、92歳の現役美容家さん。野菜・果物中心のバランスの良い食事に替え、健康美容に気を使っていた。「90歳を過ぎているのに、画面から溢れんばかりに生き生きと女性として人生を楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきて、健康や美しさって年齢じゃないなって思ったんです。何歳になっても生き生きと輝いている人って、みなさん食事に気を使ってらっしゃいますよね。昔から祖母や母の影響もあり野菜に惹かれるものがあったのですが、ますます野菜果物の持つ魅力やパワーを感じました。それで、健康でいるためだけでなく、これからはいつまでも若々しくいるための美容の面でも野菜果物は絶対に必要ではないかと思い、その奥深さを学んでみたいなと思ったんです。」
ご主人もご両親も安原さんの思いを理解してくれ、協力的にサポートしてくれた。「本当のところ、私が言い出したらきかないから、半ばあきらめてくれて受け入れてくれたんでしょうね(笑)。」息子さんを実家に預け、自宅のある広島から大阪のスクールまで、毎週新幹線と電車を乗り継ぎ、2ヶ月通って講義を受ける。「毎回すごく講義が楽しくて、本当に長い時間もあっという間でした。」そして、講義修了と同時にまもなく東京へ引っ越す。上京して資格試験を受け、晴れて「ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター」を取得(日本ベジタブル&フルーツマイスター協会認定)。ベジタブル&フルーツマイスターとは「野菜と果物の美味しさや楽しさを理解し伝えることの出来るスペシャリスト」のこと。当たり前のように口にする野菜や果物に秘められた魅力をわかりやすく伝え、日常生活での楽しみ方を導いてくれる。
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