ママリブインタビュー:ママ紹介
1976年神奈川県生まれ。小学校1年生の時に父の手ほどきで将棋を始める。佐伯昌優九段門下で研鑽を積み、1986年女流育成会入会。14歳で当時最年少女流プロ棋士に。2000年女流二段(2006年 女流三段)。A級在位通算7期。2005年2月、子どもたちへの将棋普及活動に力を入れたいとの思いから対局を引退。2003年に結婚、2005年に第一子を出産。
主な著書に「女流棋士」(講談社)、「やまと先生の入門!将棋教室」(日本文芸社)、「女流棋士のONとOFF」(中央公論新書ラクレ)、絵本に「ぴょんぴょんしょうぎ」「スイスイはさみしょうぎ」(共にポプラ社)などがある。
インタビュー特集
小さい頃から負けず嫌い!勝負の世界が自分の生きている証しに思えた。
14歳で当時最年少女流棋士となった高橋和さん。かわいらしい容姿もあり、将棋の世界では流星のごとく登場したアイドルのような存在として話題を呼んだ。幼少時、大きな交通事故にあった高橋さんにご両親は「何か手に職をつけさせたい」との思いも強く、たまたま高橋さんのお兄さんに教える目的で手ほどきした将棋に関心を示した高橋さんの勝負強さと負けん気の強さを見て、本格的に将棋に取り組ませることとなる。
「同じように教えたのに私ばかり勝ってしまって。負けて泣く兄を見て、いつしか私だけが将棋をするようになりました(笑)」
小学生の高橋さんは、毎日夜の8〜9時は将棋の時間!町の道場に通うのも苦にならず「年長者を負かした時の爽快感と、負けた時の悔しさは何事にもかえがたい唯一自分が生きていると思える瞬間」になっていった。
当時、道場というと年配の男性が多い場所だったが、棋板の前では年齢も関係なく勝負できるというのも魅力であっただろう。
子どもの涙を見て、自分が大好きだった「将棋」の世界を思い出す。
順調にプロ棋士としての道を歩み出した高橋さんだが、実際はまだ中学生。プロとしての重みを感じることになったのは、高校生になってからだという。「応援してくれる人のためにもがんばって戦わなければならないんだ、と感じ始めました。また、高校生ともなると、周りも進路について真剣に考え始める時期ですから...。実際に大人の世界を先に見ることで、考え方ばかりが先行していたところもあるかもしれません」 業界でのもてはやされ方とは裏腹に、プロ棋士としては成績の伸び悩みも。応援する声が増え、タイトルを取らなければならないというプレッシャーに体調の不良も襲いかかる。
そんな時に、子どもスクールの講師の話が舞い込む。
「子どもたちに教えにいった時、勝った・負けたの感情が本当に素直で!将棋では、必ず負けた時(投了時)に『負けました』と言わなければいけないんですよ。大粒の涙を流しながら『負けました』という子どもを見て、真剣に戦ったからこそ悔しい思いがある、真剣に戦ったものだけが味わえる勝負の世界が好きだった、という自分の原点を思い出しました」
「黒」と「白」で分けられない、グレーな部分があることを知る!
自分の原点である勝負の世界の醍醐味を思い出した時、高橋さんは対局を生業とする棋士の世界を引退する決意をする。「対局はしませんが、子どもたちに真剣勝負の喜びと楽しさ、そして悔しさも含めて将棋を広める活動をしたい!と思ったので、すっぱりと引退することに決めました。自分自身も全力疾走で駆け抜けてきたので、少しはのんびりしたい気持ちもあったのかもしれません(笑)」
まるで、このタイミングを待っていたかのような妊娠。
一時期は絶対安静という危険な状態になりつつ、だんな様のご協力もあって無事出産。
子育ては「今まで世界には黒か白しかないと思っていたのですが、グレーの部分もあるんだということを教えられています(笑)」とのこと。子どもを持つことで、少し今までとは違う景色や価値観も見えてきた。
少しずつ仕事をしてはいたが、本格的に仕事を始めたのは、ここ2年くらい。
「みなさんが思っているよりも、不定期な自営業で大変なんですよ!(笑)。今は保育も一体となった子ども園に通わせていますが、ママ友がとても協力してくれていて、今までにないほど女子力を感じています!」
一生懸命がんばる世界が好き!「0(ゼロ)」を「1」に引き上げる工夫
昔は一家に一台将棋盤があり遊びとして馴染みのあった将棋も、現代では少し遠いものに感じている人が多いという。「将棋自体の人気がなくなった、というわけではないんです。ただ、日常の中で、親や親戚などがルールを教えたり、一緒に遊んだりする場面は少なくなっています」 とはいえ、親からは「将棋を学んだら頭が良くなる」「礼儀正しくなる」と習い事としての需要は高い。
「もちろん、その期待(礼儀が正しくなる、頭が良くなる)が間違っているとは思いません。ただ、将棋は勝負の世界。勝負(かちまけ)があるから、子どもは夢中になります。今は、昔と違って将棋を知っている子を強くしようと思って通わせるより、全然将棋を知らない子に将棋を教えてほしい、という時代。まったく知らない『0(ゼロ)』を『1』に引き上げるのは大変です」
それでも、将棋にこだわるのは真剣勝負でしか体験できないことがあるからこそ。
「真剣になるからこそ、勝つ嬉しさと負ける悔しさを体験できます。また、勝負の世界では嘘が通用しませんから、勝っても負けてもその責任はすべて自分が背負うことになります。そういった厳しさにも向き合うことで、勝負(かちまけ)がついた時に真に相手を思いやることができるようになるのです。」
単純に将棋を教えるということではなく、『将棋』というツールを通して心の幅を広げてほしいと語る高橋さん。
また、子どもにとって、また子育てをする親にとっても学校だけが一つの世界になりがちだが、同じ趣味を持つもの同士がつながることでほかの世界があるということを知れば、親も子どもも心に余裕ができるのでは?と自身の体験にも重ねる。
具体的には、幼稚園や保育園、道場同士がトーナメントなどを通して交流ができればおもしろさも倍増する。
高橋さんが教える厳しくも楽しい将棋の世界は、既成概念にとらわれずますます広がっていきそうだ。
インタビュー後の質問
Q:質問
いま一番やってみたいことは?(仕事・子育て以外で)
A:答え
時間を気にせずショッピング。
Q:質問
健康や美容で気をつけていることは?
A:答え
特にありません!
Q:質問
最近読んだ(観た)中でおすすめの本(映画)は?
A:答え
「灘中 奇跡の国語教室」(黒岩祐治著)長いスパンで教えるということを改めて考えました。“どのように教えたら良いか?”を常に考えているので。
Q:質問
お気に入りの一品を教えてください。
A:答え
毛糸。夢中になって編んでいます(笑)
Q:質問
気分転換の方法は?
A:答え
ママ友とのおしゃべり。家に集まってよく話しています。
2011.12
text:Naoko Takahashi
photo:ayamo
みんなに教える















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